Japanese Red Cross Coeirty
診療科はこちら「リハビリテーション科」
急性期リハビリを担当する当課では、医師、看護師など多職種と連携し、リハビリの必要な患者に、もれなく早期より連続性のあるリハビリを提供し、早期退院を支援するとともに、継続したリハビリが必要な場合は、回復期・維持期施設に、切れ目なく、つなげるように努めています。
リハビリテーション技術課の体制は、リハビリ業務の専門化・細分化が進む中で、2課5係体制となっています。スタッフは、理学療法士12名、作業療法士6名、言語聴覚士2名、計20名となっています。自らの専門性を高め、良質なリハビリを提供するために、自己研鑽に励んでおり、各種認定資格を取得した者が多数在籍しています。
対象となる患者さんは、赤ちゃんからご高齢の方まで幅広い患者層となっています。運動器、脳血管、呼吸器、循環器、新生児・小児、がん疾患など全診療科・全病棟に渡っており、中でも内科、外科系の消化器、造血器がん、がんに伴う廃用症候群の増加が顕著となっています。早産児および極低出生体重児においては、NICU・GCU入院中から外来に至るまで定期的に評価・フォローアップを行い、神経学的な発達の支援を実施しています。
チーム医療の関わりとして、栄養サポート、口腔ケア、呼吸ケアサポート、緩和ケア、糖尿病療養支援、排尿ケア、認知症ケアなど、チームの一員として活動しています。また、ICUでは早期離床・リハビリチームにおいて、専任の理学療法士を配置し、ICU入室後48時間以内に、早期からリハビリ介入しています。
当院は総合周産期母子医療センターに指定されており、リハビリテーション技術課では、早産児や(超、極)低出生体重児、ハイリスク児の発達ケアに積極的に介入しています。近年の新生児のケアにおいては、ディベロップメンタルケア(DC)が導入されてきており、本邦でも日本DC研究会が中心となり国際NIDCAP連盟のNIDCAP(Newborn Individualized Developmental Care& Assessment Program)を普及するべく活動がなされています。NIDCAPは、Alsが開発した赤ちゃんの行動を根拠とした新生児のケアを提供するプログラムであり、赤ちゃんと家族を中心としたケアを推進していくものです。
当院では1999年より、全国的にも先駆けて始めており、2014年12月に、理学療法士で初となるNIDCAP(新生児個別的発達ケアと評価プログラム)のプロフェッショナルを取得しています。赤ちゃんとご家族を中心に、医師・看護師・理学療法士がチームとなって、赤ちゃんの行動を観察し、それを根拠とした発達を促すケアを提案し、実践しています。さらに、2020年12月に日本人で初となるNIDCAPトレーナーの資格も取得しており、日本におけるNIDCAPプロフェッショナルの支援・育成に尽力しています。
地域がん診療連携拠点病院(高度型)の中で、がんのリハビリを必要とされる患者さんは必然的に増えており、療法士の果たす役割は大きくなっています。リハビリテーション技術課としては、2013年12月に「がん患者リハビリ料」の施設基準を取得しています。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士18名が、「がんのリハビリ研修」を修了しており、専門的な知識を習得しています。がんのリハビリの対象となるのは、入院中にがん治療の手術、化学療法、放射線治療又は造血幹細胞移植が行われる予定又は行われた患者さんです。がんのリハビリ医療は、治療のどのような時期においても、どのような病状であっても、受けることができます。診断された直後から始める「予防的リハビリ」、治療と並行して受ける「回復的リハビリ」、再発/転移の時期には「維持的リハビリ」、症状緩和を中心とした医療が行われるときには「緩和的リハビリ」と、がんの治療の時期に応じて、リハビリ医療の目的や役割が異なります。
増加が顕著である白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など造血器腫瘍の治療は、化学療法、放射線治療、造血幹細胞移植などが行われます。これらの治療中は、できるだけ安静に過ごした方がよいと考える人が多いかもしれませんが、治療の副作用などにより、身体不活動状態が続くと、倦怠感の増大とともに廃用症候群が進行し、筋力や運動耐容能は低下しやすくなり、不活動の悪循環に陥っていくことになります。がんのリハビリガイドラインでは、化学療法・放射線治療中、その後の患者さんに対して運動療法を行うと身体活動性や身体機能、QOL、倦怠感という、いずれの症状の改善も見込めるということが、高い推奨レベルとなっています。また、身体機能を改善することで治療選択肢が広がったり、生存期間が延長したりという可能性についても示唆されています。
そのため、当課では多職種と連携し、より高い治療効果を得るために、リスク管理を行いながら、治療中から有酸素運動とレジスタンストレーニング(いわゆる筋トレ)を組み合わせて行い、機能改善や廃用予防に前向きに取り組んでいます。2016年7月より血液、腫瘍内科にて造血幹細胞移植が始まっています。造血幹移植が実施される場合、隔離病室滞在が長期間にわたるため、抑うつや孤立感を生じがちになります。また、前処置としての全身放射線照射、大量化学療法に伴う副作用、移植後の移植片対宿主病(合併症)などの合併症によって、不活動の状態が長期間にわたることから、廃用症候群を予防するためのリハビリは非常に大切になります。
がんのリハビリにかかわる様々な問題の中でも、がんの骨転移は、がん患者さん全体の約20~30%と言われており、痛みや病的骨折、脊髄圧迫、高カルシウム血症等のいわゆる骨関連事象:SREの発生は、ADLやQOLの低下を招きます。そのため、まずは痛みなどの患者さんの訴えを通じて、骨転移の可能性に「気づく」ことが大切となります。早期に骨転移を発見することができれば、がん、骨転移の治療をしながらSREを未然に防ぐこと、そして起きてしまった場合は、SREに対して適切に対処をすることができます。
骨転移のリハビリでは、SREを予防しながら日常生活を維持し、動作方法指導や生活環境調整をすることが重要となります。長管骨や脊椎の骨転移のある場合には、転移部に急な衝撃や大きなモーメント、捻転力が加わらないように留意する必要があります。
このことを実践するために、リハビリテーション科では、緩和ケア内科、整形外科と共同で骨転移の動作指導を目的としたパンフレットを作成しています。骨転移の概要から、骨転移部位別に応じた注意が必要な動作と対処方法についての内容となっており、指導経験の少ないスタッフでも読み進めることで、骨転移の注意が必要な動作を確認し、適切に指導できるようになっており、突然の骨折や脊髄麻痺の予防に努めています。
S62
がんリハビリテーション研修修了
日本理学療法士協会 骨関節系専門理学療法士
日本理学療法士会協会 指定管理者(上級)
日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会 呼吸療法認定士
第1回介護支援専門員実務研修修了
神戸大学医学部保健学科臨地教授
H4
がんリハビリテーション研修修了
日本理学療法士協会 神経系専門理学療法士
日本理学療法士協会 骨関節系専門理学療法士
日本理学療法士会協会 指定管理者(初級)
日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会 呼吸療法認定士
国際NIDCAP連盟認定 NIDCAP Trainer
国際NIDCAP連盟認定 NIDCAP Professional
国際NIDCAP連盟認定 APIB Professional
新生児行動評価(NBAS)認定資格
第1回介護支援専門員実務研修修了
統計士
S63
がんリハビリテーション研修修了
リンパ浮腫研修複合的治療料実技研修修了
日本理学療法士協会 認定理学療法士(脳卒中)
第1回介護支援専門員実務研修修了
福祉住環境コーディネーター2級
H11
がんリハビリテーション研修修了
日本理学療法士会協会 認定理学療法士(循環)
日本理学療法士会協会 指定管理者(初級)
日本心臓リハビリ学会認定心臓リハビリ指導士
福祉住環境コーディネーター2級
H14
がんリハビリテーション研修修了
第15回介護支援専門員実務研修修了
福祉住環境コーディネーター2級
H11
がんリハビリテーション研修修了
日本理学療法士協会 認定理学療法士(代謝)
日本糖尿病療養指導士
福祉住環境コーディネーター2級
H14
がんリハビリテーション研修修了
日本理学療法士協会 認定理学療法士(循環)
日本理学療法士協会 指定管理者(初級)
日本心臓リハビリ学会認定心臓リハビリ指導士
日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会 呼吸療法認定士
H16
がんリハビリテーション研修修了
日本作業療法士協会 認定作業療法士
福祉住環境コーディネーター2級
福祉用具プランナー
H24
がんリハビリテーション研修修了
日本理学療法士協会 認定理学療法士(循環)
日本心臓リハビリ学会認定心臓リハビリ指導士
日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会 呼吸療法認定士
H24
がんリハビリテーション研修修了
日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会 呼吸療法認定士
H26
がんリハビリテーション研修修了
日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会 呼吸療法認定士
H26
がんリハビリテーション研修修了
日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会 呼吸療法認定士
H12
がんリハビリテーション研修修了
日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会 呼吸療法認定士
介護福祉士
福祉住環境コーディネーター2級
社会福祉主事任用資格
R4
H17
がんリハビリテーション研修修了
日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会 呼吸療法認定士
AMPS(ADL/IADL評価法)認定評価者
H24
がんリハビリテーション研修修了
日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会 呼吸療法認定士
神戸大学がんリハビリテーションインテンシブコース修了
神戸大学医学部保健学科臨地講師
H26
がんリハビリテーション研修修了
H30
がんリハビリテーション研修修了
福祉住環境コーディネーター2級
H23
がんリハビリテーション研修修了
R4
→2005年~2020年の学会活動についてはコチラをご覧ください
論文名 | 書籍名 | 著者 | |
---|---|---|---|
1 | 「運動感覚のケア(ポジショニング)」 | With NEO 第34号5号:p144-148, 2021 | 藤本智久1)、石本麻衣子2) 1)リハビリテーション科、2)看護部 |
日時 | 演台名 | 学会名 | 発表者 | 場所 |
---|---|---|---|---|
2021年2月14日 | 「脊椎転移をきたした終末期悪性胸膜中皮腫患者に対する理学療法の経験」 | 令和2年度 兵庫県理学療法士会中播磨支部 新人発表会 | 山上 遼1) 1) リハビリテーション科 |
Web開催 |
2021年6月12日 | 「極低出生体重児における退院前のAPIB(早産児行動評価)と修正3か月前後のGMsの関係」 | 日本赤ちゃん学会 第21回学術集会 | 藤本智久1)、六山 梓1)、井上貴博1)、皮居達彦1)、田中正道1)、久呉真章2) 1)リハビリテーション科、2)小児科 |
Web開催 |
2021年10月22日 | 「Predictive Relations between Pre-discharge APIB Scores and Post-term GMs Assessment in Very Low Birth Weight Infants」 | 32nd Annual NIDCAP Trainers Meeting | Fujimoto T 1)、Ogaki A 1)、Inoue T 1)、Kawai T 1)、Tanaka M 1)、Kugo M 2)、Browne J 3) 1) Rehabilitation Department, Japanese Red Cross Society Himeji Hospital 2) Pediatrics, Japanese Red Cross Society Himeji Hospital 3) Pediatrics and Psychiatry, University of Colorado School of Medicine |
Web開催 |
2021年11月27-28日 | 「カフアシストE70🄬のオシレーション機能により気管出血を遷延化させた一症例」 | 第8回日本小児理学療法学会学術大会 | 藤本智久1)、井上貴博1)、皮居達彦1)、田中正道1)、岡本光正2)、久呉真章3) 1)リハビリテーション科、2)小児外科、3)小児科 |
Web開催(オンデマンド発表) |
2021年12月5-26日 | 「遊離皮弁再建術が頚部郭清術後の肩関節機能に与える影響」 | 第27回 兵庫県作業療法学会 | 大道克己1) 1)リハビリテーション科 |
Web開催 |
日時 | テーマ | 講演会名 | 講演場所 | 講師 |
---|---|---|---|---|
2021年6月5日 | 「NIDCAPに基づいた新生児ケア」 | 第38回 四国新生児医療研究会 | Web開催 | 藤本智久 |
2021年8月7日 | 「“家族のなかで育つ子ども”として小児リハビリテーションを考える ~セラピストの未来志向が家族の希望、子どもの未来に繋がる~」 |
第34回 中国ブロック理学療法士学会 | Web開催 | 藤本智久 |
2021年9月4日 | 「新生児理学療法:ハイリスク児の発達支援」 | 2021年度 理学療法士講習会・基本編(理論) | Web開催 | 藤本智久 |
2021年9月9日 | 「新生児期から赤ちゃんの発達と家族を支援するリハビリテーション ~NICUでのリハの視点から取り組めること~」 |
第1回 聖マリアンナ医科大学 ディベロップメンタルケア講演会 | Web開催 | 藤本智久 |
2021年11月7日 | 「NIDCAPの理論」 | 第25回ディベロップメンタルケアベーシックセミナー | Web開催 | 藤本智久 |
2021年11月27日 | 「NICU・GCUにおける早産児行動評価(APIB)に基づいた介入」 | 第8回 日本小児理学療法学会学術大会 シンポジウム | Web開催 | 藤本智久 |
災害救護活動は、赤十字病院としての本来の使命に根ざした重要な活動です。療法士も普段より訓練を積み重ね、災害発生時には、力を発揮できるよう準備しています。写真は、熊本地震での生活不活発病を予防するために被災者の方達に体操指導を行っている場面です。被災者の方から「気持ちよかった」や「気が紛れた」という言葉を頂くことができました。
神戸大学、兵庫医療大学、県立広島大学、高知医療学院、土佐リハビリテーションカレッジの5校より長期臨床実習、県内の養成校より短期臨床実習も受け入れています。また、県内養成校に対しては施設見学も可能な範囲で受け入れています。卒後研修も、近隣の病院、施設から要望に応じて可能な範囲で受けています。
※ 臨床実習指導者講習会修了者3名(2022年3月現在)
※ 新型コロナウイルスの感染防止について
自分は大丈夫と安易に考えず、各個人が最大限のリスク管理をし、万が一の際、病院の運営や患者さんに大きな影響を与えることを十分にご理解ください。
その他、日本赤十字リハビリ協会、兵庫県理学療法士会、兵庫県作業療法士会、社団法人アスリートケアなど各種団体の運営スタッフとしての活動や春夏の高校野球甲子園大会、全国高校軟式野球大会、姫路城マラソンなどメディカルサポートのスタッフとして、スポーツ障害の予防にも取り組んでいます。