小児外科

精巣の位置異常 〜停留精巣・移動精巣〜

停留精巣・移動精巣とは?

精巣は男性の陰のう内部にある球形の臓器で、男性ホルモンと 精子を造る役割を担っています。精巣は胎生期に腹腔内で発生し、 その後、陰のう内に下降します。下降の過程で正常な位置に 到達せず停留した状態が停留精巣です。 また、一旦、正常な位置まで下降しても固定が不十分で精巣が 正常な位置から動いてしまう状態が移動精巣です。 精巣が正常に機能するためには、比較的温度が 低い陰嚢内にある必要があり、停留精巣や一部の 移動精巣では不妊や精巣捻転、精巣腫瘍のリスクが 上昇するため、治療を要します。 停留精巣や移動精巣を正確に診断し、適切な治療を行うためには、 小児外科医や小児泌尿器科医の継続的な診察が必要です。

停留精巣・移動精巣の手術とは?

生後早期は精巣の位置が安定しないことがあるため、経過観察を行い、診断が確定した場合、生後6ヶ月以降から2歳頃を目安に手術を行います。 手術は鼡径部を約2cm、陰嚢部を約1.5cm切開し、精巣を陰嚢内に固定することが一般的で、1時間程度で終わります。しかし、精巣が腹腔内に位置する場合や位置が不明な場合は腹腔内を観察する必要があるため腹腔鏡を使用し。2回に分けた手術が必要になることもあります。一方で、移動精巣では陰嚢のみの切開で手術が可能なこともあります。

麻酔は?

こどもの手術は基本的に全身麻酔(完全に寝ます)です。手術後は少しぼんやりした状態ですが、すぐにはっきりしてきます。麻酔に関して不安なことがあれば、術前の麻酔科医師の診察時になんでもお聞きください。

入院期間は?

当院では、なるべく患者様の希望に添えるようにしています。基本的に1泊2日で行っています。

生活面の注意は?

手術前の生活に制限はありません。退院後、通学・通園は可能です。入浴は術後2日目から可能です。激しい運動やプールは、術後1週間は控えてください。

術後の通院は?

精巣を正常の位置に固定した後にも、精巣の再挙上や萎縮などが見られることがあるため、思春期頃まで年1回通院していただき、経過観察を行います。