Japanese Red Cross Coeirty
虫垂は大腸の始まりである盲腸から伸びる小さい突起です。 この部位に炎症をきたすことがあり、この状態を虫垂炎といいます。 炎症の強度により虫垂炎の重症度は大きく変わるため、身体所見や超音波検査・CTなどの所見を総合的に診て行くことが必要で、 治療も進行度により変わります。
虫垂炎に対する治療は大きく分けて、抗菌薬による治療と手術治療があります。多くの場合、これらを組み合わせて治療を行います。
腹腔鏡で手術を行うことが基本です。傷をできるだけ小さくすることで体への負担を減らすことができるため、臍の中に切開をおき、ここから様々な器具を腹腔内に挿入することで手術を行う事が多いです(図1)。しかし、虫垂炎の炎症が進むと腹腔内で臓器同士の癒着が起こり、一つの傷で手術をすることに困難や危険を伴うことがあり、その場合は傷を増やしたり(図2)、場合によっては開腹(図3)での手術が必要になります。
当院では合併症が起こらないように、様々な対策を取りながら手術と周術期管理を行っていますが、合併症を避けられない場合があり、その際は追加の治療が必要となることがあります。
合併症は虫垂炎の重症度が増すほどに多くなるため、速やかに診断・治療を行っていくことが重要です。
出血 ・ 感染(創部・腹腔内) ・ 副損傷(血管 ・ 腸管 ・ 膀胱 ・ 尿管 ・ 肝臓 ・ 生殖器 ・ その他腹腔内臓器) ・ 術後癒着性腸閉塞 ・ 臍形態変化